|Posted:2017/07/03 13:35|Category :
自然|

木にビニール袋のようなのを吊り下げて、
いったいこの人たちはなにをしているのか?
じつは、梅雨明けのころから森のなかで気になるのは
なんといっても“ナラ枯れ”です
樹齢50年以上にもなるコナラの大木の葉が夏なのにもかかわらず茶色く枯れ、
その後、葉っぱも落として木全体が枯れて死んでしまいます
森林公園ではこの現象が2012年より徐々に広がってきました

ただ、このナラ枯れを防ぐ方法があり、
手間はかかるのですがかなりの確率で防げるということで
先日、ボランティアの方を中心に作業を行った次第です

こうして下に水を入れたビニール(正確には事務用品として使われているクリアフォルダー)を
何枚もコナラの木にまきつけておくと、
ナラ枯れの原因となるカシノナガキクイムシという小さな虫が
木の中に入ることができず、下に落ちて水におぼれて死んでしまう、というわけです

この日にビニール製のトラップを付けた木は全部で18本
公園全体には何百本というコナラの木がありますから
わたしたちがしたことはスズメの涙ほどのものかもしれません
(ただ、トラップを付けなかった木が全部枯れるわけではないし、
過去にカシノナガキクイムシに入られ、枯れなかった木はその後、枯れることがないといいます)
でも、わたしたちの身近にあるコナラの木がこうした危機に直面している、ということ
そしてその原因が、以前は薪や炭などにするためにどこでも伐られていたコナラの木が
わたしたちの生活環境の変化によって伐られなくなり、大きくなり過ぎてしまったから、ということ
(これには異論もあって、中国からの輸入材のなかにコナラの木を枯らす菌が入っていた、という説もありますが)
をわたしたち人間があらためて考えてみるきっかけになれば
もしかすると新たな局面を迎えられ、この防止作業も大きな意味のあるものになるかもしれません
(もちろん、トラップをかけた18本のコナラの木は枯れずにいてくれることでしょう)
コナラの木は人間が暮らす町や村のそばに昔からあって、
炭や薪の材料になり、落ち葉や新芽は田畑の肥料に、
もちろん、木陰をつくったり、その実は野生動物たちの貴重な食料で、
イモムシやカブトムシといった虫たちにとっても大切な、いわゆる里山を代表する木です
日本全国どこにでもあって、わたしたち日本人にとって
切っても切り離せないコナラの木の行く末は
マツと同様、わたしたちの今後の生き方と深くかかわっているのかもしれません
さるぞお